水泳選手は、骨粗鬆症リスクが高いことを知ってますか?
イカやタコが骨がなくても泳げるように、水泳は骨への負荷が余りありません。それが骨密度を低下させる1つの原因です。
マラソンやロードバイク(自転車)が、骨粗鬆症になりやすいといいますが、水泳の方が高リスクです。その解決には、適度な骨への負荷と栄養補給が重要です。
水泳選手の骨密度
対象 | 全身 | 前腕 | 脚 | 腰椎 | 大腿骨頸部 | 大腿骨外部 |
---|---|---|---|---|---|---|
平均値 | 104 | 67 | 102 | 99 | 87 | 86 |
水泳部員 | 99 | 71 | 98 | 103 | 75 | 71 |
バスケ部員 | 114 | 70 | 121 | 111 | 107 | 91 |
上表から水泳部員の骨密度(BMD)は、平均値よりも低いことが分かります。
腰椎の骨密度は、平均よりも高いですが、大腿骨は極端に低いです。高負荷スポーツのバスケットボールと比べると、大腿骨の骨密度は3割ほど低い状態です。
骨密度が低い理由
水泳選手が骨密度が低い原因は、
① 骨への負荷が少ない |
② 持久系で骨タンパク質を破壊 |
女性はホルモンの影響もありますが、ここでは男女共通の原因を中心にしています。
栄養学の基本では「栄養は必要なところに、優先的に供給される」とされ、負荷がそれにあたります。骨に負荷をかけるほど、栄養が届きやすくなるのです。
またマラソンやバイクなどの持久系で骨粗鬆症が多いのは、エネルギー供給のためにタンパク質(筋肉や骨)を分解するからです。
暖をとるために、家の柱や壁を壊して燃やしているようなものですね。
骨粗鬆症は骨密度ピークが影響
骨密度のピークは18~24歳です。この期間中の骨密度はできるだけ高くした方が、将来的な骨粗鬆症のリスクが下がるのです。
骨密度に重要なタンパク質
丈夫な骨は、カルシウムが多いと思っていませんか?
半分あたりですが、半分は間違っています。
カルシウムは石灰と同じなので、硬いですがモロいです。鉄筋コンクリートに例えると、コンクリートがカルシウムで、鉄筋がタンパク質(Ⅰ型コラーゲン)です。
鉄筋の入っていない手抜きコンクリートは、地震に耐えられず崩れ落ちてしまいます。それと同様に、骨タンパク質が骨に柔軟性と弾力性を与え、折れにくい骨を作るのです。
しかも、この骨タンパク質量は、カルシウムの骨への定着率を決定します。
骨密度の3つのコントロール法
骨粗鬆症を予防する骨密度は、負荷と栄養でコントロールできます。
高負荷で骨密度アップ
宇宙飛行士が地球に帰ってくると、歩行困難な状態になっていることをご存じですか?骨粗鬆症になっているのです。
骨は負荷をかけることで、必要な栄養が骨に送られます。その負荷のない宇宙では、栄養をとってもなかなか骨は形成されません。水泳や自転車も重力を利用するマラソンやバスケットボールなどと比べると、骨への負荷は少ないですよね。
骨タンパク質で骨密度アップ
骨に負荷をかけるとともに、骨タンパク質であるⅠ型コラーゲンを摂取することで、骨の形成が促進されます。1日3~5グラム以上をサプリメントで摂取してください。
コラーゲンを食べて「翌日お肌がプルプル」と言いう人がいますが、それは脂肪です。1日では変わりませんし、コラーゲン食材は脂肪と同居しています。
必須アミノ酸で骨破壊防止
持久系のスポーツでは、タンパク質を供給するために骨分解が促進されます。運動中はアミノ酸(EAA)を摂取して、血中アミノ酸濃度を高めておくと、バテることなく、骨破壊を進みません。
注意!
骨密度が硬すぎると折れやすくなります。
折れにくい骨は「弾力性」があります。圧力がかかると「しなり」と「しなり戻し」をする骨です。これは骨タンパク質の特徴です。
石膏の飾り物をイメージしてください。
石膏=カルシウムだけだと、落とすと割れてしまいますよね!
しかしカルシウムにシリコンを混ぜると「しなり」と「しなり戻し」が生まれます。それが「Ⅰ型コラーゲン」の役割です。
Ⅰ型コラーゲンを摂取することで、骨密度が改善されて骨粗鬆症の防止につながることが報告されています。驚くことに閉経後の女性であっても、一定の効果が期待できるとされます。
気になる方は、無料お試しキャンペーン中の「スポコラ」を試してはいかがですか。
まとめ
・低負荷のスポーツでは、骨密度が低下する。
・骨粗鬆症の改善には、高負荷と栄養が必要!
補足説明
骨への負荷を大別すると、低負荷種目と高負荷種目に分かれます。その違いによって骨密度は大きく異なります。女子大学生の種目別骨密度を示しました。
被験者は合計で30名(19.3±0.5歳)で、うち低負荷で水泳と陸上長距離、高負荷で柔道とバスケットボールの部員、非部活員の各6名の骨密度を測定しました。骨密度は1㎡あたりのグラム数で表し、平均1g/㎡とされます。
体育大学生女子スポーツ選手における種目別の骨密度と組織組成における調査研究/各部位の骨密度/BMD(g/㎡)
種目 | 全身 | 前腕 | 脚 | 腰椎 | 大腿骨頸部 | 大腿骨上皮質 |
---|---|---|---|---|---|---|
非部員平均 | 1.04±0.55 | 0.67±0.02 | 1.02±0.11 | 0.99±0.08 | 0.87±0.08 | 0.86±0.10 |
水泳 | 0.99±0.01 | 0.71±0.04 | 0.98±0.05 | 1.03±0.07 | 0.75±0.05 | 0.71±0.71 |
陸上長距離 | 0.99±0.14 | 0.65±0.04 | 1.07±0.10 | 0.89±0.11 | 0.87±0.10 | 0.82±0.14 |
柔道 | 1.12±0.09 | 0.76±0.03 | 1.08±0.06 | 1.17±0.08 | 0.99±0.07 | 1.00±0.09 |
バスケットB | 1.14±0.04 | 0.70±0.02 | 1.21±0.06 | 1.17±0.07 | 1.07±0.07 | 0.91±0.13 |
その結果、軽負荷のスポーツでは、骨密度が低下する傾向があり、反対に高負荷スポーツでは、骨密度が上昇する傾向がある。20~24歳ぐらいが骨密度のピークであることから、軽負荷の選手は負荷をかけるトレーニングが有効てきです。
参考文献
・整形外科と災害外科 63: (3) 486~487, 2014「体育大学生女子スポーツ選手における種目別の骨密度と身体組成についての調査研究
・鳥居俊:2017 年度の DXA 測定結果 . 陸上競技研究紀要 13:286-288, 2017
・Wilks DC, Winwood K, Gilliver SF, et al.: Bone mass and geometry of the tibia and the radius of masters sprinters, middle and long-distance runners, race-walkers and sedentary control participants: A pQCT study. Bone 45:91-97, 2009.