アスリートにとって疲労回復は、非常に重要なテーマですよね。もしも前日の疲れが残っていたら、パフォーマンスが大きく低下します。クエン酸を上手に使って、モアベストを目指しましょう。
クエン酸の疲労回復の効果
アスリートの疲労回復に役立つのが「クエン酸」です。クエン酸がなぜ疲労を回復させるのか?どのタイミングで、どれだけ摂取すれば効果があるのか?をお伝えします。
疲労回復のメカニズム
運動するとエネルギーが消費され、乳酸が蓄積することで疲れを感じます。このとき酸素不足も起こり、乳酸がさらに溜まり疲れが増幅します。疲労回復には、これらの疲労物質の除去と酸素の補給が必要です。
クエン酸は、乳酸を分解し、エネルギーの合成を促進させ、筋肉の酸素需要を減少させることで、疲労回復を促進させます。
- クエン酸の乳酸分解作用
- エネルギー合成の促進
- グリコーゲン再合成の促進
- 酸素の消費量を減少させる
- 酸化ストレスの軽減
- 貧血の防止
疲労すると、筋肉中の酸素供給が不十分になり、エネルギー産生のためにグリコーゲンが燃焼され、乳酸が蓄積されます。乳酸は、筋肉のpHを下げることにより、疲労を増大させます。
しかしクエン酸は、乳酸脱水素酵素の補酵素として機能することで、乳酸をアセトアセチルCoAに変換し、エネルギー産生のプロセスに再利用されます。このようにクエン酸は乳酸の分解に寄与することで、筋肉の疲労を軽減することができます。
疲労とはエネルギーが出ない状態ですよね。クエン酸はエネルギーの合成を促進させる働きがあります。
クエン酸は、エネルギー製造工場である「クエン酸回路」の中間生成物であるため、エネルギー代謝に関与します。疲労時には、ATP(エネルギー単位)が消費されることで、細胞内のエネルギーが不足し、疲労感が生じます。
クエン酸を摂取することで、クエン酸回路が活性化され、ATPの合成が促進されます。
血中酸素濃度が低下すると、ATPを大量生産する有酸素系が機能ダウンします。するとグルコースによる無酸素エネルギーの合成量を増やします。この糖新生経路では、少量のATPを作るのに多くの乳酸を発生させます。
酸素量が低下すると、有酸素系が機能ダウンして、無酸素系の糖新生経路が活発になります。無酸素系はATP合成量が少なく、大量にグルコースが消費するので、大きな疲労感が生じます。
しかしクエン酸を摂取することで、グルコースの再合成が促進され、エネルギー源が補充されます。
いわるゆ省エネですね。クエン酸を摂取すると、疲労時の筋肉の酸素消費量が低下します。これは筋肉の酸素需要が減少することで、疲労の緩和が促進されるためと考えられています。
疲労時には、活性酸素が増加し、酸化ストレスが生じることが知られています。クエン酸には抗酸化作用があり、酸化ストレスを軽減するとされています。
血中ヘモグロビンが全身へ酸素を供給します。そのヘモグロビン濃度が低下すると「貧血」が起こります。運動中に貧血になるのは、発汗により鉄分が流出するからです。
この鉄分などの栄養素を吸収しやすくするのが「キレート効果」という働きです。クエン酸はキレート作用があり、有害物質の排出も促進します。
クエン酸の摂取方法
クエン酸の摂取量とタイミング
クエン酸を効果的に活用する摂取量とタイミングがあります。
クエン酸の摂取量は、体重や運動量で大きく異なります。
1回の摂取量は、体重1㎏あたり0.05gとされています。体重50㎏の方は2.5g、60㎏の方は3.0gになります。
一般的な1日量としては2~3gですが、運動による疲労回復が目的なら、通常の3~5倍にあたる1日10~15gが適量とされます。
クエン酸は長時間体内に留まることができません。そのため運動量と運動時間に応じて、小まめな摂取が大切です。
<運動前> | 30分~1時間前に1回摂取することで、脂肪のエネルギー合成を高め、乳酸の発生を抑えてくれます。 |
<運動中> | 持久系などの長時間運動の際は、途中での摂取が重要です。運動量と運動時間に合わせて摂取しください。 |
<運動後> | 疲労回復を早めるには、運動後の摂取が欠かせません。 |
クエン酸を多く含む食品の紹介
食品名 | 100gあたり(g) |
レモン果汁(生) | 6.5 |
梅干し(塩漬け) | 3.4 |
冷凍カシス | 3.3 |
ドライトマト | 3.2 |
レモン全果(生) | 3.0 |
パッションフルーツ果汁(生) | 2.5 |
ドライマンゴー | 2.3 |
チーズホエーパウダー | 2.0 |
脱脂粉乳 | 1.8 |
入り大豆、青大豆 | 1.7 |
利便性を考えると、ドリンクやサプリメントが実用的ですね。またクエン酸の摂取はタイミングが重要なので、水さえあれば摂取でき、持ち運びも便利なサプリは活躍しそうです。
注意点と副作用
過剰摂取による副作用について
クエン酸を摂りすぎると、いくつかの問題や副作用が生じることがあります。以下に、クエン酸の過剰摂取によって引き起こされる可能性のある問題や副作用をいくつか紹介します。
過剰摂取によって消化器系に負担がかかり、下痢や腹痛などの消化器症状を引き起こすことがあります。また胃酸の分泌を促進するため、胃炎や胃潰瘍などの消化器系の疾患を悪化させる可能性もあります。
対策として、クエン酸濃度を薄目にする。胃に食品がある状態で摂取するなどです。
クエン酸はカルシウムを体外に排出する作用があるため、長期的な過剰摂取によって、骨密度の低下や骨粗鬆症の発症を引き起こす可能性があります。
対策として、運動後にカルシウムやタンパク質(特にⅠ型コラーゲン)を多く含む食品やサプリメントを摂取する。カルシウムのサプリ摂取は、あまりおすすめしません。食品で摂りましょう。
クエン酸が腎臓の機能に影響を与えることがあり、腎臓疾患のある人は特に注意が必要です。消化器系や腎臓に疾患を持っている場合は、医師や専門家に相談することをおすすめします。
クエン酸は酸性物質なので、歯のエナメル質を溶かしてしまう可能性があります。クエン酸を含む飲料やサプリメントを長時間口に含んでいると、歯にダメージを与えることがあるため注意してください。
以上のように、適量を守って摂取することが重要です。クエン酸を含む食品やサプリメントを摂取する場合は、ラベルに記載された使用上の注意や摂取量を守るようにし、過剰摂取に注意しましょう。
アスリートが注意すべき点
上記の副作用を前提として、過剰摂取の傾向があります。持久系のスポーツでは、大量に摂取してしまうことがあります。体調をみながら、適切に摂取しましょう。