概要
クエン酸の持久力向上効果は、マラソン、ロードバイク、トライアスロンなど、ハードな持久力競技で発揮されます。そのメカニズムと効果的な摂取量と摂取時期をお伝えします。
クエン酸とは?
運動パフォーマンスへの作用
クエン酸とは、果物や野菜などに含まれる有機酸の一種で、「クエン酸回路」と呼ばれるエネルギーを合成する代謝経路の重要成分です。その主な作用は
- 脂肪エネルギーの代謝促進
- 乳酸の蓄積抑制と分解
- グリコーゲンの再合成
- 動脈機能と酸素供給量の改善
- 抗酸化力による酸化ストレス改善
- 鉄分の吸収促進「キレート効果」
- その他
持久力向上のメカニズム
持久力が低下する原因は「筋肉疲労」と「エネルギー不足」です。その2つを解消するのが、クエン酸の働きです。クエン酸が持久力向上に影響する主な理由は2つです。
- 筋肉疲労の改善
- エネルギー増産
筋肉疲労の改善
筋肉疲労の正体は「酸化」です。無酸素でのエネルギー合成中に、乳酸が放出されます。乳酸は疲労物質ではありませんが、強酸性(pH2)です。体内を酸化させ疲労感を発生させます。脂肪による高エネルギー効率の状態では、あまり発生しません。
クエン酸は、筋肉を酸化させる乳酸を、エネルギー原料に変える働きがあります。それがグルコースの再合成です。つまりクエン酸は、乳酸という酸化原因を取り除くわけです。
エネルギーの増産
筋肉疲労下では、エネルギー不足が生じています。エネルギーは細胞内の「クエン酸回路」で合成しますが、疲労状態では、酸素やエネルギー原料が充分に供給できません。
「クエン酸回路」はその名の通り、クエン酸が大きく関わっています。クエン酸は乳酸除去とともに、クエン酸回路を活性化し、エネルギーの増産を始めます。
クエン酸の活用事例
クエン酸は、長距離走や自転車競技、トライアスロンなどの持久力を必要とするスポーツで、広く活用されています。持久力競技では、疲労とエネルギーのコントロールが重要です。
クエン酸の摂取方法
クエン酸摂取量には明確な適量がありません。
その理由は、年齢、体重、運動強度、天候やコンディションなど、個人差が大きいためです。下記を目安くしてください。
ですから状態に合わせてご自身で判断してください。
摂取量の目安
一般的な1日の摂取目安は、2~3グラムです。アスリートになると、その量は3~5倍以上になります。疲労度に合わせて10~20グラムは摂りたいです。
1回の量は、2~3グラムを限度にしてください。胃腸への負担があります。
目安になるのが、運動強度(METs)です。メッツは安静時の1分間の酸素消費を1として、その何倍の酸素を消費したかを数値化したものです。
その運動強度に応じて、調整してはいかがでしょうか?ただし運動は24時間やるわけではないので、その分は差し引いて下さい。
メッツの大まかな数値をご紹介します。
METs値 | スポーツの種類 |
---|---|
1.0 | 安静時 |
2.3 | ストレッチ、全身を使ったTVゲーム |
2.5 | ヨガ、ビリヤード |
2.8 | 座って行うラジオ体操 |
3.0 | ボウリング、バレーボール、社交ダンス、ピラティス、太極拳 |
3.5 | 自転車エルゴメーター(30~50w)、自体重を使った軽い筋トレ、体操(軽中度)、ゴルフ(歩き)、カヌー |
4.0 | 卓球、パワーヨガ、ラジオ対象第1 |
4.3 | やや早歩き、ゴルフ(クラブ担ぎ) |
4.5 | テニス(ダブルス)、水中歩行、ラジオ体操第2 |
4.8 | 水泳(ゆっくり) |
5.0 | 早歩き、野球、ソフトボール、サーフィン、バレーダンス |
5.3 | 水泳(ゆっくり平泳ぎ)、スキー、アクアビクス |
5.5 | バトミントン |
6.0 | ゆっくりのジョギング、ウェイトトレーニング(高強度)、バスケットボール |
6.5 | 軽登山 |
6.8 | 自転車エルゴメーター(90~100w) |
7.0 | ジョギング、サッカー、スキー、スケート、ハンドボール |
7.3 | エアロビクス、テニス(シングル)、登山(4.5~9.0kgの荷物) |
8.0 | サイクリング(時速20kg) |
8.3 | ランニング(毎分134m)、水泳(クロール、普通の速さ、毎分46m未満) |
9.0 | ランニング(毎分139m) |
9.8 | ランニング(毎分161m) |
10.0 | 水泳(クロール、早い、毎分69m) |
10.3 | ブドウ・武術(柔道、剣道、空手、キックボクシング) |
11.0 | ランニング(毎分188m)自転車エルゴメーター(161~200w) |
摂取タイミング
運動または試合の30分から1時間前に摂取してください。スタートから1時間あまりのコンディショニング用です。この段階でクエン酸の効果を実感できるはずです。
疲労を遅らせるために、クエン酸の消費に合わせて摂取ください。なかなか消費量は分からないですね。これは経験知と感覚で判断してください。給水ポイントは給水タイミングがあるなら、その都度摂取してください。真水は持久力を低下させるので要注意です。
運動後は、翌日に疲労や筋肉痛を残さないための摂取です。コンディショニングでは、1日でも1時間でも早い回復を求めてください。
副作用やアスリートへの悪影響
クエン酸の副作用などの情報は
「クエン酸の疲労回復の効果を高める摂取量とタイミング」で解説しています。